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2013年07月17日

演説中の無意味な動作は好感度を下げる



トレーニングを受けにこられたその方は、現役で首長を務めておられました。
仮のお名前を、A氏とします。

A氏は、話すのがうまい。かなり流暢にスピーチができる。
ご自分の意見を伝えることには長けているのですが、時に予期せぬ反発に合うことが悩みでした。
内容はちゃんと理解してもらえても、どうも信用してもらえない…
それで、秘書や支持者の勧めもあってスピーチトレーナーを探し、僕のところを訪ねて来られたというわけです。

まずは現状のスピーチを拝見して、すぐにわかりました。
余計な「動き」が多すぎるのです。

パブリックスピーチでは、身振り手振りは非常に重要。
しかし、内容と無関係な動きが多くなると、聴衆は「せわしない→落ち着きがない→信頼できない」と感じるのです。

例えば。
あなたの手をぐっと握り、力強く「信じて下さい。」という相手と、
手足を無意味に動かしウロウロしながら「信じて下さい、信じて下さい!」と早口に言う相手と、
あなたなら、どちらを信頼しますか?


特にA氏の場合は、無意識に首を動かすクセがあり、そのせいで落ち着きなく見えていました。
トレーニングの最初に撮ったスピーチの動画を、その場ですぐに再生してA氏にお見せしながら、
改善すべき様々なポイントを指摘し、「まずは首の動きを止めることから始めましょう」と伝えました。

ところが、首を意識するとそちらにばかり気がいって、スピーチに身が入りません。
そこで僕は、A氏の頭に本を一冊のせました。
「これが首を振らないということなんだ」と自然に身体で理解!
そしてそのままの状態で、スピーチのトレーニングを続けました。

その結果…
A氏の無駄な動きは、格段に減ったのです。
姿勢もよく、どっしりと落ち着いて見えるようになりました。
話し方も、トレーニング前より少しゆったり間をとれるようになって、全体としてA氏の言葉に対する信頼感は格段にアップしました。


結果だけを見れば、A氏の無意味な動作を減らしたのは、たった1冊の本。
それを頭にのせただけの、簡単なことです。


でも僕だからできること、それは

1−どんな行動で悪い印象を与えるのか、その分析
2−それをどうすれば解消できるのか、その計画
3−どう実行すれば効を奏するのか、その訓練
4−完璧に解消されたかどうか、その確認

自ら舞台や演台で演じ、人前で話す他者を観察し、長年スピーチの教育を実践してきたからできるのです。

その人に「本をのせるトレーニング」が必要かつ有効なのか、
また本をのせながらどんなトレーニングをどこまでやるのか、といったことは
やはりスピーチトレーナーとしてプロフェッショナルでなければ判断できない領域なのです。
【政治家演説エピソードの最新記事】
posted by 高津和彦 at 16:13| Comment(0) | 政治家演説エピソード
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